レバレッジはハイリスク、ハイリターンである事は学びました。
レバレッジによるハイリスクによって証拠金が無くなるだけではなく、
最悪の場合、証拠金以上の損失が出て、借金を背負う可能性もあります。
そうならない為のリスク管理として、存在する仕組みが
「マージンコール」と「ロスカット」です。
これらを詳しくご説明していきましょう。
マージンコールとは、取引の最中に為替レートが下がり、
あらかじめ設定しておいたボーダーラインの%以下の証拠金の残高になると、
警告をしてくれる機能です。
FX会社によって%の設定値は証券会社によって事なりますので、
事前の確認が必要になります。
ロスカットとは、設定してある証拠金残高のボーダー以下になると、
それ以上の損失を防ぐ目的で強制決済が行われる機能です。
設定値は大体証拠金維持率50%前後が基準となっておりますが、
こちらも証券会社によって事なりますので、事前の確認が必要です。
「強制決済」ですので、強制的に取引が終了し、損失も確定します。
マージンコールは強制力無く、あくまでも警告です。
警告の内容を簡単に言うと、
「証拠金が少なくなってきたので、取引を継続させたい場合は
証拠金の追加をしてください。さもないと、ロスカットが行われ、損失が確定します」
という様な内容です。
ロスカットを防ぎたい場合は、証拠金の追加をすれば回避できます。
一方で、ロスカットは強制力があり、強制決済となりなれば損失が確定します。
しかし、ロスカットが行われれば、損失は確定するものの、
それ以上の損失が発生しなくなるのも事実です。
分かり易くする為に例を挙げましょう。
資金が15万円あったと仮定して、米ドルを取引するとします。
為替レートは1ドル100円とします。
米ドルは1万ドルからの取引が可能で、
必要証拠金は1万ドル当たり4万円必要とします。
ここで、2万ドル(レバレッジ2倍)で注文したとしましょう。
その際に必要証拠金は
4万円×2=8万 8万必要になります。
ここで、マージンコールの設定値が証拠金維持率100%、
ロスカットが証拠金維持率50%で設定されているとします。
この時、15万円の資金を元手に2万ドルの取引をしました。
そして、15万円の資金の内、8万円が証拠金として拘束された状態になります。
このケースで言いますと、 為替レートの変動によって7万円のマイナスが発生し、
口座の暫定残高が8円万になってしまうと、必要証拠金と金額がイコールとなり、
証拠金維持率が100%となってしまいます。
その瞬間、マージンコールが発生し、期日までに口座に追加の入金をしないと
強制決済をされてしまい、損失(今回の例だと7万)が確定し、
口座残高が8万円に減ってしまいます。
このケースでのロスカットの場合は、どうなるかと言いますと、
証拠金の50%なので、
8万×50%=4万
残高4万円が、証拠金維持率の50%になります。
つまり、為替レートの変動で口座の暫定残高が11万円マイナスになって
4万円になるとロスカットが執行され、11万円の損失が確定し、
口座の残高が4万円になってしまいます。
ちなみに、取引直後の証拠金維持率は
15万円(資金)÷8万円(必要証拠金)=1.875
ですので、187%で取引がスタートする事がわかります。
また、2万ドルの取引ですと、1円の変動で2万円の損益ですから、
3円50銭分の値動きによる損失でマージンコールが発生し、
5円50銭分の損失でロスカットが執行される事が分かります。
必要証拠金やロスカットに関しては後ほど、もっと詳しくご説明したいと思いますので、
今回は証拠金とマージンコールとロスカットの関係を粗方把握して頂ければと思います。
また、大事な注意として、ロスカットを過信し過ぎてはいけません。
ロスカットは設定されている為替レートまで落ち込むと、コンピューターが
自動決済をしますが、この自動決済に落とし穴があることがあります。
普段は突然の変動は起きない外国為替市場ですが、
例えば、突然の情勢の変化やテロ事件など、何らかの理由が原因で突発的に
急激な暴落を起こす可能性というもの否定できません。
その結果、証拠金の範囲内だったのに、突然ロスカットライン以上の値下がりを
起こした場合はどうなるか?
勿論、ロスカットによる自動決済は執行されますが、
設定しているロスカットラインでは無く、現段階での
ロスカットのライン以上に下がった為替レートで自動決済されてしまいます。
場合によっては証拠金の範囲を超える為替レートで決済され、
逆に負債を抱える可能性もありますので、ロスカットを信用し過ぎない方がいいでしょう。
また、決済したくない場合でも、強制決済が執行されてしまうのが
ロスカットのリスクとも言えます。
「マージンコール」と「ロスカット」はそれぞれのFX会社が
独自に設けてある機能であり、外国為替市場に初めから備わっている
機能ではありませんのでご注意ください。
また、マージンコールに関しましては、設けていない会社もありますので、
FX会社を選ぶ際は設けられている、制度を確認する必要があります。
さて、マージンコールとロスカットについて理解できましたでしょうか?
この様に、マージンコールとロスカットは思わぬ損害を防ぐ機能ですが、
頼らず、過信しすぎない方がいいでしょう。
FXを始めるにはFX口座が必要ですが、
次は、FX口座を選ぶ為のポイントをご説明しています。