証拠金維持率を前回お話しさせて頂いた所で、
次にロスカットと追加証拠金制度について触れていきたいと思います。
どちらの知識も、大きな損失を最小限に食い止めるために、
知っておきたい知識となりますので、理解しておきましょう。
FXの取引には、資産以上の損失を防ぐ為のロスカット
という制度が設けられております。
証拠金維持率が証券会社に定められた%以下になると強制決済され、
損失が確定してしまいます。
ロスカットの基準は証券会社で違います。
証拠金維持率の50%や60%がロスカットのラインというのが多いですが、
証拠金維持率の100%という証券会社もありますので、
口座を持つ証券会社のロスカットのルールを良く理解しましょう。
ロスカットのイメージ
ロスカットだけではなく、追加証拠金制度にも注意が必要です。
これは、以前にお伝えした「マージンコール」の事を指します。
追加証拠金の制度は主にロスカットのラインが
50%などの証拠金維持率の100%以下の証券会社に設けられております。
追加証拠金とは、証拠金維持率が100%以下になると発生し、
証券会社が定める期日までにポジションを決済するか、口座に追加入金をして
証拠金維持率を100%以上にしないと強制決済されてしまう制度です。
ロスカットまで証拠金維持率に余裕があるからといって
100%を切った状態で放っておくと証拠金不足による強制決済が執行され、
損失が確定してしまいます。
追加証拠金制度のイメージ
もしかしたら、追加証拠金制度が証拠金維持率の100%で発生する故に、
それ以下の%で発生するロスカット制度って必要ないのではないかと
想った方もいるかもしれませんが、ロスカットは必要です。
例えば、値動きから目を離した隙に、大変な事態が起こり急激な値動きが発生し
資産以上の損失が生まれる可能性だって否定できません。
ロスカットはこれ以上の損失を防ぐ目的がありますので無いと困ります。
ロスカットは、そのラインを超えると有無も言わさず強制決済です。
FXをする上で資金に関する重要な点は、
ロスカットの設定値(%)はさて置き、
安全に取引を続ける(=ポジションも持ち続ける)為には
証拠金維持率は常に100%以上無いといけないという事を
良く肝に銘じておかなければなりません。
極端な例ですが、
ポジションを持った直後の段階で、証拠金維持率が101%だった場合、
為替レートがちょっとでも含み損の値動きをしただけで、すぐに追加証拠金が発生する
危険があり、怖くてポジションを持ち続ける事ができません。
ですので、証拠金維持率に余裕のある取引をする事!
間違っても証拠金ギリギリや、証拠金維持率に余裕のない取引はしない様にしましょう。
その為には、取引の際は証拠金維持率把握をしておくことが大事です。
・取引直後の証拠金維持率は何%なのか?
・証拠金維持率が100%になってしまう為替レートは?
・ロスカットになってしまう為替レートは?
など、ポジションを持つ段階で把握をし、しっかりリスク管理をしましょう。
以下に、追加証拠金とロスカットの特徴をまとめます。
証拠金維持率が100%になった時に発生
証券会社が定める期日までに
1、口座に追加入金
2、証拠金維持率が100%以上になる様にポジションの決済をする
のどちらかの処置をして証拠金維持率を100%以上にする必要がある。
期日までに処置をしないと強制決済が執行され、ポジションは決済される。
設定されたロスカットラインまで証拠金維持率が下がった場合
その段階で強制決済が執行され、ポジションが決済される。
追加証拠金制度の様な、期日の猶予は無い。
ここからは余談ですが、
追加証拠金とロスカットが発生するレートを事前に計算する為の計算式をご紹介します。
この計算式を覚えなくても、FXに慣れてくると何となく分るようになりますし、
また、基本的には取引ページ証拠金維持率は自動的に計算され、その%を見ると
大体分かりますので、毎度計算をしなくても大丈夫ですが、
「いくらの含み損で証拠金保遺率が発生する」
「いくらの含み損でスカットが発生する」
などを自身で事前に計算したい時には、
こちらで紹介する計算式を知っておくと便利かもしれません。
計算して算出したpips分のマイナスがそれぞれのボーダーラインになります。
参考例として、どれ位の含み損で追加証拠金とロスカットが発生するかを
シミュレーションしてみましょう。
参考例の条件は、
・口座の残高 ¥500,000
・取引単位 10,000(=1Lot)
・USDのポジションを10Lot持つ
・USDの必要証拠金は$10000(1Lot)につき¥41,000とします。
※シンプルにする為に、ここではスプレットは無視します。
10Lotという事は、ポジションを持つのに
¥410,000の必要証拠金が必要です。
因みに、この時(ポジション保有直後)の証拠金維持率は
¥500,000÷¥410,000=約1.22
ですので、約122%です。
それでは、参考例の条件を計算式に当てはめて計算してみましょう。
先ずは、追加証拠金発生ラインから計算してみましょう。
((500,000-410,000)÷(10,000×10))×100
=(90,000÷100,000)×100
=0.9×100
=90(pips)
計算結果は90pipsですので、
-90pipsの含み損発生のレートの動きで証拠金維持率が100%となり、
追加証拠金が発生します。
90pipsという事は日本円で言うと90銭の値動きになります。
10000通貨単位での10Lotですので
90銭×100000=¥90,000
つまり、-¥90,000の含み損になると追加証拠金が発生する事が分かります。
それでは次に、ロスカットラインを50%と仮定して、
ロスカット発生レートを確認してみましょう。
((500,000-(410,000×0.5(50%))÷(10,000×10))×100
=(500,000-205,000)÷100,000)×100
=(295,000÷100,000)×100
=2.95×100
=295(pips)
となり、-295pipsの含み損までいってしまうとロスカットによる
強制決済が執行されます。
295pipsという事は、日本円で¥2.95(2円95銭)です。
Lot数も含めて計算しますと、
¥2.95×100000=¥295,000
となりますので、¥295,000の損失が計算されます。
上記の例に対してレートを入れてみましょう。
先ずは買いポジションで想定します。
例えば、注文約定時のレートが
1$=¥101.000だった場合・・
1$=¥100.100で追加証拠金のライン
1$=¥98.050でロスカット執行になります。
売りポジションの場合は安く買って高く売るので、逆に考えます。
注文約定時のレートが
1$=¥101.000だった場合
1$=¥101.900で追加証拠金のライン
1$=¥103.950でロスカット執行になります。
以上の様に、ご紹介した計算式を利用して事前に計算ができます。
ご自身で計算して把握したい方は活用下さい。